JAREC アーカイブス
目で見てわかる地方創生
「未来の地域づくりに繋がる教訓を掲載」
上勝町の葉っぱビジネスにおけるビジネスモデル30年の改良(H29.3)
【柚の6次化のビジネスのスタート】
【事業までのプロセス】
【地域ブランドの価値向上】
【今後の課題】
馬路村は高知県東部の山々に囲まれた山間に位置し、人口は908人と高知県内で2番目に人口が少ない地域です。過疎化と高齢化が進む典型的な地域ですが、自立意識が高いのが村民の特徴となっていました。
ゆず産業のはじまりは、馬路村の主要産業であった林業が安い輸入品により衰退し、細々と栽培していたゆずに力を注ぐようになったことからでした。地元の人は放任栽培で、無農薬で栽培していたことが、後に強みとなりました。しかし、1975年には本格的にゆず果汁の生産を開始したものの、県内では飽和状態で売り先がなく安値で取引されていたこと、馬路村の柚は皮が厚くて果汁が多く採れないことから、加工商品として売り出すことを目指しました。
ゆず産業のはじまりは、馬路村の主要産業であった林業が安い輸入品により衰退し、細々と栽培していたゆずに力を注ぐようになったことからでした。地元の人は放任栽培で、無農薬で栽培していたことが、後に強みとなりました。しかし、1975年には本格的にゆず果汁の生産を開始したものの、県内では飽和状態で売り先がなく安値で取引されていたこと、馬路村の柚は皮が厚くて果汁が多く採れないことから、加工商品として売り出すことを目指しました。
【事業までのプロセス】
当時、危機感を持った農協は、1980年頃から独自販売に乗り出しました。先頭で引っ張ってきたのは、馬路村農協職員だった東谷望史組合長でした。東谷氏は、県内での販売だけではマーケットの拡大がないため、早期に大都市に流通チャネルを構築する仕組みを見据えて販売戦略を立てていったのです。
大都市の人にも商品を認知してもらうため、大手デパートの物産展に出展。「101村物産展」でポン酢しょうゆ「ゆずの村」が大賞を受賞しました。この受賞で村は一変しました。直販での販売、顧客管理までを行うようになり、大手流通の革命があって、馬路村にも物流が通ることになり、消費者への直接販売体制が整ったのです。2006年には総事業費14億円をかけて「ゆずの森加工場」(事業費の50%が国、25%が県の補助金が入っている。)が完成。こうして、コールセンターも充実した、ゆずの生産から加工・流通販売までの一貫した6次化システムが完成したのでした。
大都市の人にも商品を認知してもらうため、大手デパートの物産展に出展。「101村物産展」でポン酢しょうゆ「ゆずの村」が大賞を受賞しました。この受賞で村は一変しました。直販での販売、顧客管理までを行うようになり、大手流通の革命があって、馬路村にも物流が通ることになり、消費者への直接販売体制が整ったのです。2006年には総事業費14億円をかけて「ゆずの森加工場」(事業費の50%が国、25%が県の補助金が入っている。)が完成。こうして、コールセンターも充実した、ゆずの生産から加工・流通販売までの一貫した6次化システムが完成したのでした。
【地域ブランドの価値向上】
販売当初は、生産しても採算割れであったが、当初から宣伝を行っていました。村の加工品を宣伝するためのポスターデザインを依頼した際に、現地を視察したデザイナーたちが「村をまるごと売り出すしかない」と東谷氏に進言。地元の人たちは、都会的なスマートなイメージで売り出すことを考えていましたが、素朴な田舎を前面に宣伝を行っていったのです。地域特産品としては珍しくテレビCMが放映されており、高知県内のみならず四国・中国地方の各県や青森県などでも放映されています。
馬路村の加工商品のデザインは、立ち上げ時からの2人のデザイナーが担当し、デザインレギュレーションを徹底していました。(例:必ず絵と文字が一緒。「馬路村」の文字が入っている等。)
馬路村の加工商品のデザインは、立ち上げ時からの2人のデザイナーが担当し、デザインレギュレーションを徹底していました。(例:必ず絵と文字が一緒。「馬路村」の文字が入っている等。)
【今後の課題】
馬路村では、いま「次世代の後継者育成」が大きな課題となっていました。高齢者が大多数を占める(高齢化率約5割)馬路村のアンケートによると、数年後に引退すると回答した割合が高くなっていること、また、リーダーシップを取ってきた馬路村の東谷氏の次の世代のリーダーをどのように育てるかなどがありました。
また、インターンシップ制度の導入によりIターン、Uターンで若者を呼び込む施策と同時に、移住後の支援も必要としていました。
このことを踏まえて、ハード面では、若い世帯が快適に生活できる住環境や教育環境を整備し、次の世代が地に足をつけて地域活性の担い手として活躍できる場を提供するとしています。また、ソフト面では、高齢者が保有する暗黙知化した農業の技術を若手に伝承することや、リーダー候補となる次世代の育成を行っていく必要があるとしていました。
参考 「高齢社会における市区町村が抱える課題(ニーズ調査)」および「高齢者の就労支援対策等に資する具体的事例および課題の調査・検討」H27.3 JISTEC委託事業
取材・文責 中﨑 正好
また、インターンシップ制度の導入によりIターン、Uターンで若者を呼び込む施策と同時に、移住後の支援も必要としていました。
このことを踏まえて、ハード面では、若い世帯が快適に生活できる住環境や教育環境を整備し、次の世代が地に足をつけて地域活性の担い手として活躍できる場を提供するとしています。また、ソフト面では、高齢者が保有する暗黙知化した農業の技術を若手に伝承することや、リーダー候補となる次世代の育成を行っていく必要があるとしていました。
参考 「高齢社会における市区町村が抱える課題(ニーズ調査)」および「高齢者の就労支援対策等に資する具体的事例および課題の調査・検討」H27.3 JISTEC委託事業
取材・文責 中﨑 正好